歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg氏の歌
日ノ本の 影に染まれる 紅葉着の ∨1
立つ背は澤の 流るる様(サマ)よ
天伝ふ(アマヅタフ) 東の果ての かの島の
光に編まれて 生まれたりけり
恋ひの素 人の心を 種にして
いざ萌えにしが 西の果てまで
大和なる 誰(タレ)にも負けぬ もみじ葉(ハ)の
萌え散るものぞ うるはしからん
雑言(ザフゴン)も 罵り言葉も 悪口も
白たつ海(ワタ)の 日差しのやうに
荒波に 呑まるは無かれ
平安の 光ぞ渡る 己(オノ)が心の
地鳴にも 騒ぐは無かれ
一輪の 花は勝らん 千の戦に ∨2
鬼の子を 慕う心の さだめかな
我が身のほだし 解けむとするは
日本鬼子、神奈川の西の果てにある真鶴(マナヅル)に訪れけるときに詠ふ歌。 ∨3
真鶴の 箱根空木(ウツギ)の 花移り 我が面(モテ)移ろふ ここ背見ゆれば
【マナヅルの首から顔への様子のように、真鶴町の近くにそびえる箱根山に生える箱根空木の花が白から紅へと色を変えるように、
私の頬も仄かに染まってゆくのです。この私のいとしいあなたたちに(み湯に入っているのを)見られると】
ヒワイドリ、鬼子の入浴するを聞きて訪ねけり。鬼子声を上げるも、鳥いと静かなる心をし、我々に向けて詠ふ。
胸あまた 数ならざるか 益荒男(マスラヲ)よ 繁き森より 無二なる巨樹を
【胸はなあ、たくさんあったって価値はねえ。
男子諸君、繁った森よりも、他に比べようのない、たった一つのきょny……巨樹の方がよっぽど価値があるのさ!】
卑猥なる鳥、鬼子の薙刀の太う重きに喰われけれども、それ死にはあらず。されど鳥それ本望なり。
海より、魚(ウオ)出でにけり。ヤイカガシと言ふなる魚なり。なまづに似る様より放つにほひ、やんごとなく、鬼子顔しかめぬ。
鬼子の行い、いと理なれども、ヤイカガシはさ思わず。そして詠ひけり。
なまめかし なのめならざる 珠の肌 定めて似合わん 生臭わが身
【上品で、格別美しい肌の鬼子たん。
なまめかしい……なま……そうさ、きっと響き的に似合うだろうなあ、生臭い僕に】
鬼子、再び薙刀振るひけり。遠く飛び、ヒワイドリと同じ場所に着す。
その脇に木生えたり。たわわに実る栗に、採らんとする小人なる女あり。童、名を小日本と言ふ。
とげとげし 我摘み取りし 栗の鞠 いづれと遊ばん 鳥かなまづか
【トゲトゲしてる、わたしの摘み取った栗の実を、どっちに落として遊ぼうかな? ヒワイドリさんか……ヤイカガシさんか……】
その後、真鶴に叫び声が轟き渡りけり。されども、日本は常にぞ平和なるかな。
言葉あり 二の次に文字 それゆゑに 心と馳せて 言葉編まなん ∨4